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東京地方裁判所 昭和44年(手ワ)1186号 判決

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一、原告の主張

一、請求の趣旨

(一)  主たる請求

(1) 金百万円及びこれに対する昭和四四年三月一九日から完済まで年六分の割合による金員の支払。

(2) 訴訟費用被告負担

(3) 仮執行の宣言

(二)  予備的請求

(1) 四五万円及びこれに対する昭和四四年四月二四日から完済まで年五分の割合による金員の支払

(2) 訴訟費用被告負担

(3) 仮執行の宣言

二、請求の原因

(一)  主たる請求

原告は被告振出にかかる別紙目録記載の小切手の所持人であるが、法定呈示期間内である昭和四四年三月一九日これを支払のため呈示したところ支払を拒絶されたので同日付で支払人をしてその旨の宣言をなさしめた。

よつて右小切手金及びこれに対する呈示の日から完済まで法定の年六分の割合による金員の支払を求める。

(二)  予備的請求

原被告間に本件小切手に関し昭和四四年四月一六日次のとおりの和解が成立した。

(1) 被告は原告に対し五五万円の支払義務あることを認め同日一〇万円、同月二三日四五万円を支払う。

(2) 被告が右支払を終えた場合には原告は本件小切手を返還する。

そして被告は右一〇万円を支払つたので、残額四五万円及びこれに対する履行期の翌日から完済まで民事法定利率の年五分の割合による金員の支払を求める。

三、抗弁に対する認否

被告と訴外本川順錫との間の本件小切手授受の原因は不知、原告と右訴外人の本件小切手授受の原因に関する被告の主張は争わない。

第二、被告の主張

一、主文同旨の判決を求める。

二、請求原因事実はすべて認める。

三、(抗弁)

訴外本川順錫は原告と賭碁をなし一五〇万円の債務を負担したが、その支払に窮し被告に実情を打ち明けて本件小切手を借り受け、これを原告に支払つたのである。従つて原告の請求は権利の濫用として許されない。

また、原告主張の和解契約も、その前提たる小切手金の請求が権利の濫用として許されない以上、無効と解すべきである。

第三、証拠(省略)

別紙

小切手目録

小切手

金額   一〇〇万円

支払地  東京都渋谷区

振出地  同右

振出日  昭和四四年三月一五日

振出人  被告

支払人  第一相互銀行恵比寿支店

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